手習いラジオ第13回「はじめにことばがあった」

ゲスト:しのさん、紺野晴さん(長雨書房)

わたしたちを声で知っているみなさんへ。
わたしたちが、ほんとうにいると思っていましたか?

手習いラジオでは、番組の感想や取り上げてほしいテーマ、朗読のリクエストを募集しています。

手習いラジオ第6回「こんにちは、長雨書房です」

20分で分かる長雨書房!「ながめ」って実は掛詞なんです。

今回のゲスト・長雨書房の紺野晴さんと、なんとラジオではすっかり忘れていた?チームの自己紹介をお送りします。
制作中の雑誌の内容も、ちらっとお話ししちゃいます!

手習いラジオでは、取り上げてほしいテーマ、朗読してほしい文章を大大大募集しています!!

走って行こう

カサ忘れた
迎えなんてないよ

しょうがないから
走って行こう

すべって転んで
ズボンの膝がぱっくり割れた

黒い布から肌が光ったように現れる

よく見ると手も赤い
なんてことはないよ
走って行こう

止まっていると濡れちゃうよ

止まない雨は本当に無いのか

部屋はガラクタばかりで床が見えない

私は何が欲しいのだろう

この間風邪をひいて寝込んだとき、1人がなんだか辛いと少し感じた

私は何が欲しいのだろう

***

夜、雨の街で傘を広げ歩く

街灯が、木の影が傘のスクリーンへ映り込み、歩くたび色んな形が流れていった

私は帰り道を歩き続けた

歩けばどこにつくのだろう

またあの部屋へ戻るだけだ

***

私は何が欲しいのだろう

こんな風に文字に今日をしたためて

私は何を求めているのだろう

それが分かったとして

どうなるんだろう

***

雨水が溜まり、水溜りとなる

溢れてゆく水は何処へ流れるのだろう

そんなことは誰も知らない

形とか行き先なんて、誰にもわからないのだ

でも雨は降り続ける

夜の街にも、私の中にも

降り続ければ雨は溢れて大きな流れをやがてつくるのだろう

その先は誰も知らない

誰も知らない所へ、雨も私も向かっている

何もわからないことが不安で、何もわからないことが少しだけ、少しだけ楽だ

私はただこの荷物を抱えて歩くのでせいいっぱい

その先に何があるのかなんて知らない

でも止まるわけにもいかない

ここには水先案内人なんていない

それが自由でそれが不安で

私は少しラクで 少し楽しく感じる

雨の中を進んで行こうと思う

多分いつか雨は止んで

風向きが変わるんじゃないか、なんて楽天的なことを考えている

冷たい頬

私が聞きたいのは

そんな言葉ではない

私が見たかったのは

そんな姿ではなかった

 

夜一番遅くの特急に揺られる

自分の姿が車窓に映る

何だかこの数ヶ月で歳をとってしまったみたい…

映った顔は雨粒が沢山ついている

 

何もかも洗い流して欲しい

私のこの情けない姿を

 

雨は恵みを私に与えてくれるだろうか

夏を迎える植物のように

私は大きく息を吸い、水を吸い

はつらつと生きていきたい

また明日を迎えるために

 

布団の上に横になると、体がぴくりとも動かなくなってしまった

ああきっと今私は雨に打たれているのね

だから顔に沢山水の粒があるのね

 

車窓に映った私の分身が何処かで「そうだ」と言った